フランス料理

さやいんげんは、クタクタ煮がおいしい?茹で加減で変わるもう一つの仕上がり方

三度豆とも呼ばれ、いつでも見かけるさやいんげんは美味しいシーズンを迎えています。もっともさやいんげんが、この時期から旬を迎えるとは、知っている人がどのくらいいるのでしょうね。夏野菜に押されがちなさやいんげん。茹で加減をコリコリからクタクタに変えるだけで違った味わいを楽しめます。今回は、そのさやいんげんをクローズアップしてみます。
 

ほっこりとしたおいしさ

筋は一般にヘタと呼んでいる成り口を折って、引っ張るように取り除きます。先の尖っている方は、和食ではそのまま生かしているのをよく見かけます。状態を見て落とすか、そのまま生かすかを決めてください。

 

ちょうど良い茹で加減の基本は、やや歯ごたえが残る程度が良いとされています。太さや長さにもよりますが目安は2分です。冷水に落とし、色鮮やかになります。これを基にして炒めたり、そのままサラダなどに使うのが最も基本的なやり方です。

 

しかし、歯ごたえや茹でた時の鮮やかさを無視して、さやいんげんのもう一つの持ち味である、クタクタに加熱して甘さを引き出すやり方もあります。軟らかめに加熱したインゲンは見た目は悪く、歯ごたえはもちろん期待できません。しかし煮汁を吸い込んださやいんげんは、ほっこりとした甘みとおいしさがあります。

 

茹であがる直前のさやいんげんを1本だけ取り出してみて、爪を立てて先の方を押してみると、抵抗なく潰れる加減です。ゆで時間を10分にしているレシピもあるくらいです。そのまま、バターを絡ませるだけで、抜群の付け合わせや単品料理になります。出来上がりのクタクタ感にナッツをパラパラと振りかけると歯ごたえの対比が楽しめます。

 

缶詰ではないかと目を疑う

フランスで初めて仔羊のローストを頼んだ時の付け合わせが、クタクタに煮込んであった、さやいんげんでした。歯ごたえが残るように加熱するのが良いと思っていたので、クタクタで、さやいんげん本来の緑色が飛び、くすんだその姿は、缶詰ではないかと目を疑いました。

 

しかし、食べてみてそのしみじみとした深い味わいに、フランス料理の本質を見ることができました。コリコリと歯ごたえのある茹で加減もあるが、しっかりと火を入れて甘味と煮汁を吸わせて供に生かすやり方もあると、この両方を知れた初めの経験でした。仔羊のことよりも、さやいんげんのおいしさの方に、気を取られていました。

 

 

歯ごたえのある触感に飽きたらクタクタにしてみる

今回は「さやいんげんはクタクタ煮がおいしい?茹で加減で変わるもう一つの仕上がり方」についてお伝えしました。

 

歯ごたえが残るくらいの茹で加減を目指していたのに、つい茹ですぎてしまっても気にしないでください。例え、茹で過ぎてもレシピを多少変更さえすれば、さやいんげん本来の持ち味はそのまま生かせます。

 

もちろん下茹でをしなくても、煮汁の中に直接入れて煮込んでも美味しいです。いつもの歯ごたえのある触感に飽きたら、たまには我慢して、じっとクタクタになるのを見守ってみるのも面白いかもしれませんね。

 

 
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