簡単に初心者でも扱いやすい食材の一つがにんじんです。今回は、3月から5月頃まで出回る新にんじんをきっかけに、当たり前すぎるほど身近なにんじんを、美味しくできるポイントをフレンチスタイルの2つの基本的な調理法からまとめてみます。
この時期に出回る新にんじんは、特に皮が薄く色も特徴のあるオレンジ色。切ると、みずみずしくさわやかな淡い香りがします。やや小ぶりな形がマンガやイラストなどに多く出てくる、ウサギが食べているにんじんのイメージと一致しています。
フレンチでは、冷たい料理のキャロットラぺと温かい料理のキャロットグラッセが一番シンプルで初心者の方にも覚えてほしい料理です。シンプルだからこそ、皆さまの持ち味をいかしたアレンジがしやすいのも利点です。
ラペとグラッセ
✓冷たい料理
キャロットラぺは、オレンジジュースを少し煮詰めてドレッシングとして使用するとワンランクアップします。また、レーズンなどのドライフルーツとの相性も良く、アクセントとして活用するといいですね。ハーブではイタリアンパセリ、セルフイユ、バジル、エストラゴンがよく合い、仕上げに細かくなりすぎないように刻み(みじん切りはNG)パラパラ振りかけると、香りが生かせます。季節ごとにハーブの種類を変えるとにんじんがよろこびます。
✓温かい料理
キャロットグラッセは、砂糖の代わりにはちみつを使う人もいます。甘さの加減は好みでいいでしょう。ただし塩味がきちんと決まっていないと甘味も生かせません。煮汁は自分が最終的にイメージする味になるように煮詰めていきます。こまめな味見で調整してください。煮汁がにんじんをコーティングし、つややかなにするのは少々難易度が高い技術ですが、チャレンジしてみてださいね。
補足になりますが、もう一つお伝えしたいポイントはソテーです。やや厚めににんじんを切り、フライパンでバターを使ってゆっくりソテーするだけで、にんじんのシンプルなおいしさが引き出せます。仕上げに、タイムやローズマリーの枝をいれると、香りがバターにしみこみ、にんじん全体をハーブの香りで優しく包み込むことができます。
同じセリ科のクミン、キャラウェイ、フェンネルシードはパウダーにして最後に振ると効果的で違った印象になります。パウダーではない時は、初めに入れて一緒に調理するといいでしょう。
この時期にしかない楽しみ方を味わう
今回は「【旬の食材カレンダー春野菜編】新にんじんを通じて再発見~シンプルフレンチにんじん活用ポイント」についてお伝えしました。
新にんじんだからと言って、特別な調理法や料理をする必要はありません。1年中出回るにんじんが、少しだけ女性的になったイメージでいつもと同じように調理することを意識すると美味しく仕上がります。新にんじんの流通期間は短いです。気が付くとすぐに、いつものにんじんに戻ってしまいます。この時期にしかない新にんじんを通じて、にんじん料理の楽しみ方を再発見し、味わってみるのもいいですね。