フランス料理

野菜のポタージュ~仕上げに「こす?」「こさない?」で考える大切なこととは?

滑らかな舌触りのポタージュは、手間暇かけた古典的なフランス料理の代表です。では、滑らかでは無いポタージュは、手抜きと言えるのでしょうか?

 

ポタージュは、裏ごししても、しなくてもどちらでも構いません。肝心なのは、どうその食材を食べてほしいかを考えることです。今まではこすのがある意味当たり前でした。滑らかなポタージュが美味しいとされてきました。

 

でも、これだけ食材の持ち味にフォーカスされている昨今、従来の考え方や調理法では味わい方の範囲が狭いと言えるでしょう。

 

今回は、ポタージュの仕上げの現在地について考えてみます。

 

つぶつぶ感を残す

先日のレッスンでキノコのポタージュを作った時、ハンドブレンダ―を使って撹拌しピュレ状にしました。据え置き型のミキサーでも良かったのですが、ハンドブレンダ―の使い方と良いところを伝えたかったので用いることにしました。

 

さらにポタージュの良さは滑らかな舌触りですが、キノコのポタージュなので、あまり細かい裏ごしだと逆にきのこの良さがなくなってしまうので、少しつぶつぶ感をあえて残すようにしました。

 

食材の安全性と味

また、農家直送で有機野菜や無農薬をウリにしているお店では、あえてざらつき感を残して提供しているポタージュもあります。もしかしたら皮ごと使ったりして、食材の安全性や味をアピールするためにあえて裏ごししていないのでしょう。

 

そこで出されている、大根のポタージュは、ざらざらの温かいポタージュでしたが一歩間違えればただの温めた大根おろしにも間違う人もいるかもしれません。その特徴を理解して、作る側がこのおいしい大根を食べてほしいというブレないコンセプトが、温かい大根おろしと一線を画し、立派なポタージュとして出されていました。

 

ソースの近いビロード状のポタージュ

もちろん、従来通りの滑らかな舌触りを求めるのも大切です。冷たいポタージュのヴィシソワーズは夏の暑い季節には、食べたくなる一品です。クリーミーな舌触りとのど越し伝わる冷涼感は、しっかりと裏ごししていないと得られません。

 

古典では滑らかさを追求するために布を使ってこす方法もあります。そうなると、ポタージュの域を超えたソースに近いビロード状のポタージュに昇華します。

 

食材の持ち味の生かし方しだいでワンランク上のポタージュになる

今までのポタージュは必ず裏ごしをして滑らかに仕上げるのが暗黙の了解でしたが、大切なのはポタージュの主材料の持ち味を、どうやって引き出すことができるかを、考えることではないでしょうか?ポタージュは滑らかにするのは当たり前ではなく、今までこうやっていたからこうするのも感心できません。

 

もちろん基本の考え方やセオリーはあり、初心者の段階ではその基本を行うのが大切ですが、さらにその先にある食材の特徴、提供する対象者、作る側はどうその食材を味わって欲しいのかに、焦点を当てることがワンランク上で、持ち味が生かされたポタージュになるコツでしょう。

 

大根のポタージュの事例でも分かるように、もしかしたら裏ごししない方がその特徴が伝わると感じたら、裏ごししない。もしくは、粗目のザルでこす。そんなことを試行錯誤しながら、作るのがこれからは必要なのではないでしょうか?

 

「こす」「こさない」を決めるのはあなたの持ち味しだい

今回は【野菜のポタージュ~仕上げに「こす?」「こさない?」で考える大切なこととは?】についてお伝えしました。

 

滑らかなポタージュは、輪郭がはっきり出てクリアな味わいがします。また裏ごししないタイプは、ストレートに食材の長短全ての特徴を味わうことができます。それらをどう理解して調理し、提供するかを決めるのは、あなたの持ち味次第かもしれません。

 
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