はじめに、ムニエルという調理法の特徴を活かしながら家庭で再現性を高める方法として、
1 焦げ難くするためにバターとサラダ油を一緒に入れて焼く方法
2 バターは後から入れて香りも活かす方法
上記2点が主な方法です。⇨この記事では2の方法でまとめていきます。
スーパー買える鮭の切り身で作るムニエルのポイントを整理
下処理
スーパーで買える鮭の切り身は、はね切り(飾り切り)と呼ばれる身を大きく見せるための、斜め切りの和食独特の魚カット仕様です。腹骨と中骨が付いている時は、下処理としてそれらを取り除いた方が食べやすいでしょう。
塩を振る
少なくても焼く15~20分前には鮭全体に塩を振ります。そのまま冷蔵庫に入れておきます。塩の作用でうっすらと水分がにじみ出てくるので、それをふき取ります。焼く間際に塩を振るよりも味がのりやすくなります。
小麦粉をまぶす
レシピには小麦粉と書かれている場合が多いですが(一般的なレシピの場合、材料を限定的にしないことでレシピに柔軟性を持たせるため)使用する粉は強力粉が良いでしょう。ダマになりにくく、全体にうっすらと付きやすいのが特徴です。
もちろん薄力粉でも問題ありませんが、いずれにせよ余分な粉は落とし、まぶしたらすぐに調理してください。粉が水分を吸ってべとつき、その後の仕上がりにも影響します。
焼き方
焼きはじめは、サラダ油で皮目(鮭の斜め切りは皮が焼きにくいので、フライパンのふちに皮目を当てるといいでしょう。)をじっくり焼きます。決して、強火で焼き続けてはいけません。すぐ身が固くなります。
身は表になる方から焼きます。必要以上に身を動かさないでください。動かすときは、フライパンの接地面と鮭の焼き目側の間に、焼き油を滑りこませるイメージで軽く動かしたり、身を丁寧に軽く持ち上げてください。
アブラをふき取る
皮目が焼けたら、キッチンペーパーなどで余分な焼き油をふき取ってください。その焼き油は魚の余分なイヤな臭いがにじみ出ています。その油を取り除かないままバターを投入すると、バターの特徴が活かされません。
バターを入れる
身を返したら、ここで初めてバターを投入です。1切れにつきバター大さじ1は最低いれましょう。フライパンの熱で溶け始めてくるバターを魚全体に行き渡るように、スプーンでかけながら焼きます。(フランス料理ではこれをアロゼといいます)身の厚い部分に意識的にアロゼすると均一に加熱できます。この時の火加減は、バターが泡状になるように終始調整してください。
仕上げ
器に盛り付けたら、古典レシピではソースとして焦がしバターソースをかけます。慣れない方は、溶かしバターをかけるだけでも十分です。仕上げに、パセリのみじん切りも身の上に振りかけます。
溶かしバターにレモン汁を加えたり、ケーパーやミニトマトなどを加えると、ムニエルもワンランク上の仕上がりになりますので試してみてください。もちろんソースは省いて、カットレモンを添えるだけでも大丈夫です。
余裕がある時は、付け合わせも用意しましょう。相性が特に良いのは、粉ふきいもやバターライスです。
ムニエルの意味再確認
【参考資料】日光金谷ホテルの虹鱒料理;クラシカルな盛り付けが奥深さを感じます。
✔添えてあるパセリは、飾りではなくナイフフォークで切り刻んで、ソースと混ぜながら食べます。西洋野菜がまだ珍しかった時代では、パセリは高級食材でした。そんなことにも思いをはせながら食べましょう。
ご存知かもしれませんが、基本を振り返るためムニエルの意味を確認します。 ムニエル(ムニエール)(meunière)とは、粉屋さんを意味します。転じて料理では、小麦粉を魚につけ、バターで焼く調理法です。古典的なフランス料理では仕上げにレモン汁と焦がしバターソースをかけ最後にパセリのみじん切りを振りかけます。
主に魚の切り身に多く見られますが、虹鱒のように丸ごと調理されるレシピもあります。他には、ホタテ、タラの白子、仔牛の脳みそ、カエルの腿肉もムニエルにします。ムニエルは本来、ムース状のバターが魚全体を包み込みながらじんわりと優しく加熱されていく過程が特徴的です。
身が薄い魚でも硬くならずに、ふっくらと仕上げることができるのが最大の魅力でしょう。しかし、家庭ではバターを大量に用意するのは経済的ではありませんし、バターをムース状に保ちながら焼く技術は難易度が高く再現性も乏しいのが現実です。
小麦粉とバターはセットでムニエル
この記事では、ムニエルの基本~鮭(生鮭)の切り身の場合について書いてみました。
フランスでは、ここまでムニエルにバターを使うのかと、フライパンに大量投入されたバターを見て食文化の違いを見せつけられました。家庭では難しいですが、仕上げ時に入れて、バターの香りをまとったムニエルを楽しみたいですね。
最後に、様々な食材代用レシピはありますが、ムニエルとうたう時はぜひ小麦粉とバターはセットでムニエルであると覚えてください。