フランス料理

フレンチ前菜「アントレ」を作るための季節を味わう5つの食材カテゴリー~冷たい前菜編

古典的なフランス料理のコースは、本来スープ(ポタージュ)から始まりました。そして、その前で出す料理のことをhors‐d‛œuvreオードブルと言っていました。つまり、プロローグ的なつかみにあたる、コース外の料理のことをオードブルと呼んでいたんですね。

 

現在は前菜を指す言葉hors‐d‛œuvreオードブルを使うことはあまり見かけなくなりました。(ケータリングなどで前菜盛り合わせのことをオードブルと呼ぶことはあります)代わりに、アントレ(entrée)という言葉を前菜の意味として今では使うのが主流です。

 

季節感を最も表現しやすい冷たい前菜

お客様がアントレに込める期待感や高揚感。シェフ達が食欲をそそる食材をふんだんに使い、華やかな盛り付けや演出で楽しませてくれます。まさに、入り口(entrée)にふさわしい食事の最初の一品がアントレです。今回は、冷たい前菜(entrée froide)を作るためには欠かせない食材をピックアップします。季節感を最も表現しやすい冷たい前菜。皆さまもお作りになるときには、どうぞ参考にしてみてください。

 

1、卵のアントレ

ウッフマヨネーズ(œuf mayonnaise)のように、茹で卵にマヨネーズを添えた、シンプルなカフェスタイルなものが作りやすいでしょう。前菜作りにはとても安価で親しみやすい食材です。まずは茹で卵を作り、マヨネーズを添え季節の野菜やサラダを添えてみてはいかがでしょうか?

 

2、野菜のアントレ(野菜、きのこ、豆)

最も作りやすいのが野菜、きのこ、豆です。クリュディテ(crudité)のように、生野菜や歯ごたえが残るように茹で、ドレッシングで和えた季節の野菜を盛り合わせたもの。ホワイトアスパラガスのサラダ(salade d’asperges blanches )は春には欠かせない一品です。キノコをソテーして熱いうちにマリネ液に漬けこんでマリネしてもいいでしょう。豆は、レンズ豆が主に使われます。マスタードを利かせたドレッシングで味を調えましょう。

 

3、フルーツのアントレ

フルーツ単体で使われることはありませんが、添え物がポイントです。春といえばイチゴですが、フォアグラ料理と組み合わせるパターンをよく見かけます。夏になると必ず食べたくなる、メロンと生ハム(melon au jambon)は有名です。秋は、梨と一緒に白身魚のマリナやカルパッチョを添えてみるのも良いでしょう。冬は薄切りにしたりんごと一緒に、相性が良いブルーチーズとアンディーブのサラダはいかがでしょうか?

 

4、シーフードのアントレ

マグロのタルタル(tartare de thon)、小エビのカクテル(coktail de crevettes)など、日本人にも食べやすい定番の前菜がシーフードを使ったものです。お刺身をレモン汁とオリーブオイルに軽く漬け込んで、シンプルに塩で食べてみるだけでも雰囲気を味わえます。

 

5、肉系のアントレ(フォアグラやハムも含む)

パテドカンパーニュ(pâté de campagne)、フォアグラのテリーヌ(terrine de foie gras)、リエット(rillettes)と、しっかりとした味付けがされているものが中心です。これらは、保存が目的に作られているのが多く、少々重たく感じるかもしれません。しかし、フレンチの本質が詰まった前菜が多い肉を使ったアントレは、作り甲斐があります。他の前菜と違って作るのに時間がかかります。マリネ中、加熱中、寝かせ中の空いた時間を他の事に使いながら、チャレンジしてみてください。

 

器のデザインにも気を使うと一段と楽しくなる

今回は【フレンチ前菜「アントレ」を作るための季節を味わう5つの食材カテゴリー~冷たい前菜編】についてお伝えしました。

 

前菜作りで大切なのは、季節感を出すことです。野菜、果物、シーフードは季節感が出しやすい食材ですが、ジビエを除く肉系のアントレは季節感を感じにくいのが欠点です。それを補えるのが添える食材がカギになります。そこにあなたらしいセンスを生かした持ち味を加味してください。慣れてきたら器のデザインなどにも気を使うと、作るのも一段と楽しくなります。ぜひ、作ってみてくださいね。

 

 
季節の食材を使ったアントレをたのしめる
フレンチ体験レッスン

 

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