フランス料理

甲殻類「クリュスタッセ」は、ビスクですべてを味わい尽くすが初めの一歩

フレンチでは甲殻類のことをクリュスタッセと言います。主に魚料理に分類されますが、こだわりのあるお店では、きちんと甲殻類のメニューとして分けられており、規模の大きなフランス料理レストランの厨房では、クリュスタッセ専門のシェフがその料理を担当します。

ビスクとは、甲殻類をすりつぶしたピュレのことを指します。おもにポタージュ(スープ)の一種で、甲殻類の殻を香味野菜とブイヨンなどの液体で煮出し、すりつぶしながら裏ごしして仕上げるのが特徴です。

サミットでも高評価

そのエキスを煮出したビスクは、濃厚でクリーミーです。コクがある味わい深い仕上がりを好むのは日本人に限らず欧米人でも好きなテイストです。

2008年北海道洞爺湖サミット
オホーツク産毛ガニのビスク カプチーノ

2016年伊勢志摩サミット
伊勢海老クリームスープ カプチーノ仕立て

カプチーノ;軽く温めた牛乳を泡立てたもの。泡立てたクリーム状のミルクフォームがビスクとの相性が良い。

日本人シェフが作るレシピは、食卓外交においてとても高い評価を受けています。そのまま食べても、美味しい甲殻類ですが、ビスクにすることで全てを食べつくすことができるのは、まさにフランスの代表的な料理といえます。

フレンチで主に使われる甲殻類は、カニ(タラバガニ、ズワイガニ、毛ガニなど)、オマールエビ(ヨーロッパ産、カナダ及び北米産)、イセエビ(三重産、千葉産)、アカザエビ(イタリアンではスキャンピ)、エクルビス(阿寒湖のウチダザリガニ)などです。

ビスク作りのポイント

甲殻類の殻などがストックされたらビスクを作ってみましょう。にんじん、玉ねぎ、セロリなどの香味野菜はじっくり炒めて甘味を引き出します。トマトは欠かせません。アルコールは白ワインとブランデーを加えます。

殻をよく炒めたらブランデーでフランベをしますが、殻が炎で焦げてしまう恐れもあります。その後の仕上がりにも影響するので、別鍋でフランベするのもいいでしょう。魚の出汁とチキンストックを加えると味がさらに深くなります。十分に味が引き出せたら、殻を潰すように濾します。

仕上げは、生クリームを加えてコクを出します。コショウの代わりにカイエンペッパーで、ピリリとした辛さを加えるのが良いでしょう。また、途中で米を加えてとろみをつけます。

まとめ

今回は【甲殻類「クリュスタッセ」は、ビスクですべてを味わい尽くすが初めの一歩】についてお伝えしました。

一見すると自宅では再現性としてはハードルが高そうですが、安価に手に入る赤エビ、ブラックタイガー等を使うことでなんとか作れそうですね。殻はたくさん用意しても実際にできる量はごくわずかです。そのぜいたくなエキスこそフレンチの本質です。甲殻類のフレンチ「クリュスタッセ」といえばビスク。ぜひ覚えておいてください。