秋の味覚のナス料理。皆さんは楽しんでいますか?
秋茄子は嫁に食わすなで有名なナスですが、フレンチでは貧乏人のキャビアと言われる料理には欠かせない食材で有名です。
今回は、そんな秋ナスの楽しみ方を初心者向けにフレンチ流でご紹介します。
秋ナスの基本のき
秋ナスは、夏のナスに比べて皮が柔らかいと言われていますが、基本は皮付きのまま使います。油との相性が良いのは有名ですが、油を多く摂取したくない時は、あらかじめ塩を軽くまぶし、しばらく置いてしんなりさせてから使うと、火も通りやすくなります。
また、切り込みを入れておくのも時短にもつながります。アクが気になるときは、塩水につけておくやり方があります。下処理として素揚げしたナスは、熱湯をかけて軽く油抜きをすると、更に丁寧な仕上がりになります。
焼きナスは直火で真っ黒になるまで焼いたら、水に漬けて冷ますのはおすすめしません、当然水っぽくなります。時間があるときは、火傷しない温度まで冷ましてから皮を剥くのがおすすめです。
よく売られている千両ナスを始めとして、伝統的な特産品となっている東京の寺島ナスや大阪泉州の水ナスは有名です。一部高級スーパーでもイタリア系のゼブラやホワイトベルも見かけるようになりました。それぞれの特徴はご自身で確かめながら何度か使ってみると良いでしょう。
ナスのキャビア風
南仏のホテルに在籍中に、毎日仕込んでいた料理の中にナスのキャビア風というものがありました。別名「貧乏人のキャビア」と言われるこのシンプルな料理。米ナスサイズのナスを半分にカットしニンニクを差し込んで岩塩を軽くしてオーブンで焼きます。
果肉の部分を取り出して、包丁で細かくみじん切りにします。その後水気を切るためにザルに取り、一晩冷蔵庫に置きます。翌日、適度に水分が切れたナスに味を付け、前菜料理に使っていました。ナスの種の部分のツブツブ感がキャビアを連想させるらしいのですが、どう見てもキャビアに見えないのはご愛敬です。
色々な呼び方
初めての職場の先輩がナスをわざわざ「オーベルジーヌ」とフランス語で読んでいたので、初めて覚えたフランス語の食材名がナスでした。また、ウィーンでは標準ドイツ語ではなくウィーン訛りの食材名だったので、イタリア語感ある「メランザーニ」と言っていました。ナスだけでも呼び方が変わることに当時は、カルチャーショックを受けていたのを思い出します。
フレンチのナスの使い方
地中海料理を連想させるナスはオリーブオイル、ニンニク、玉ねぎ、トマトとの組み合わせが多くみられます。それ以外にもフレンチではナスを単体で使う調理法があり、先に紹介したキャビア風以外にも例えば…
☑ベシャメルソースと合わせてクリーム仕立てにするもの。
☑香りのついた液体と一緒に茹でて一度取り出し、煮汁のみを煮詰めて再度ナスを漬けこみ、香りを移したもの。
☑半分にして中身をくり抜き、詰め物をする方法。
☑シンプルにフライにしたもので、この場合はパン粉を細かくして揚げたら、タルタルソースがおすすめ。
☑焼きナスにしてからポタージュを作るのも最近の傾向。
また、クミン、エルブドプロバンスなどのスパイスやハーブとの相性もよく、仔羊や赤身の牛肉にはとても相性が良いです。
今回は【ナスで味わう秋の味覚~初心者向けフレンチの使い方】についてお伝えしました。
ナスは体を冷やすので夏にはぴったりですが、秋ナスは食べ過ぎるとおなかを冷やす恐れがあります。諸説ありますが、このように体をいたわる点が「秋茄子は嫁に食わすな」と言われる由縁なんですかね?
フレンチでも良く使われるナスですが、先にご紹介した調理法を参考に、秋の夜長にぴったりのナス料理で、食卓を楽しんでみましょう。