フランス料理

フレンチの料理用語『アミューズ』の意味とは?

 アミューズは、おもてなしフレンチには欠かせない大切な「はじまり」です。

 

すごく手間をかけることなく、簡単に作れることが大前提。季節感を忘れず、ゲストのことを想いながら食欲をそそる盛り付けの仕方も考慮しましょう。ゲストが実際に食べてみて、その後始まる料理への期待を込めたおいしさ。それは高揚感を増していくために欠かせません。

 

今回はそんな「アミューズ」についてのお話です。お付き合いください。

 

アミューズとは

主にアミューズブーシュ(amuse-bouche)、またはアミューズグール(amuse-gueule)と言われる、小さいサイズの甘くない小皿料理のことです。食前酒とともにサーヴィスされたりするのがほとんどで、一口から二口で食べることができるお手軽な料理です。冷製・ティエド(ほんのり温かい)・温製とあり、その店の料理長のセンスが問われます。

 

ポエム的な日本語

フレンチレストランの日本語メニュー表記としては、「アミューズ」と書かれているのがスタンダードです。「はじまりの一品」「シェフからのプレゼント」などと、フランス語とはかけ離れた日本語表記は婚礼メニューによく見られます。

 

子供からお年寄りまで出席する結婚式の料理は誰でも理解できることが大切で、詩的な表記はそんな配慮が感じられます。また「突き出し」と日本料理のように書いている店は潔く、とても分かりやすいですね。

 

アラカルトのリストには記載されてはなく、ただ口頭で初めてアミューズの存在が確認されます。コースメニューには、一番上に記載されていても、その内容は同じく口頭のみ、もしくは選んだ料理内容、アレルギー、苦手な食材を確認してから、厨房で料理長の指示によって内容を決めて提供されます。

 

様々なスタイル

その形は、料理長や店のスタイルに反映されます。例えば、現代の最新技術の調理機器を存分に駆使し、調理技術を試すような、超前衛的な若手シェフ達による実験的な要素を含んだもの。

 

それとは真逆で、ラディッシュにバターを添えたシンプルなスタイル。カナッペやシュー生地にチーズを練り込んだグジェールなどの手でつまめるような、伝統的または地域性に特化したもの。

 

和ブームでよく見かけた、レンゲに盛り付けられたタルタルや、かつてのスペインブームの影響からか、金属製の串に刺したピンチョス系などの外国料理を取り入れたスタイル。ただ前菜を小さく盛り直したものなど、本当に様々です。

 

最近では、食のサスティナブルをテーマにした、問題提議のようなエッセンスを取り入れるお店も見受けられます。これは海外のシェフに影響を受けた意識の高い若手シェフのトレンドでしょうか?

 

巻き寿司もフランス料理?

変わったところでは、アミューズとして細巻き寿司を「MAKI」と称して出された時には、さすがに苦笑いでした。手元にある「LE GRAND LAROUSSE GASTORONOMIQUE 」で確認してみると、堂々と記載されており驚きました。

 

外国文化を、上手く自国の料理文化に取り込むことに、秀でているフランス料理の貪欲さには驚きです。今後は、アミューズだった「巻き寿司」もフランス料理になるのでしょうか?。複雑な気もしますが、これも時代の流れでしょう。

 

きっかけ作りと食欲を増す効果

アミューズは、知らない人と会話をするきっかけ作りには、欠かせないアイテムです。様々な職業の人が出会うパーティーや久しぶりに合う友人などと、つまみながらの会話は楽しみの一つです。そして、泡系の食前酒と共にさらに食欲も増進します。

 

タイミングを作るための必須アイテム

作る側のメリットは、次に続く料理の準備をする時間の余裕が生まれることです。アミューズも無しにいきなり料理スタートでは、特に前菜が追い付くことができません。アミューズは、ゲストが到着したらすぐに提供できるのが鉄則です。

 

ゲストがアミューズを楽しんでいる間、キッチンではその後の料理提供の為の準備やタイミングを計っています。特に複雑な盛り付けや、火入れにこだわりのあるレストランでは必須。アミューズを準備する手間は少しかかりますが、トータルで考えるとメリットが多いのではないでしょうか?

 

提供の仕方にセンスが問われる

食材は基本的に何でもいいですが、大切なのはその後の食材と被らないこと。極端な例だと、アミューズでスモークサーモンを出したのに、魚料理でもサーモンのソテーでは良いメニューとは言えません。サーモンを使ったコース料理なら別ですが…

 

あまり手をかけ過ぎず、簡単に手早くできるのもポイントです。やはり、食材にこだわり手間をかけるのは、メインディッシュになるのが良いでしょう。あくまでアミューズなのでやり過ぎはよくありません。が、提供の仕方にはセンスが必要なので、やはり手を抜くことができません。難しいですね。

 

まとめ

今回は、【フレンチの料理用語『アミューズ』の意味とは?】についてお伝えしました。

 

自宅でのおもてなしフレンチでは、アミューズがあるだけで随分と印象が変わります。ゲストもさらに喜び楽しい時間を過ごすこと間違いありません。そして何より、みなさまの持ち味やセンスを存分に生かせます。時間に余裕がありそうな時には、チャレンジしてみてくださいね。

 
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