や・8・さ・3・い・1。のごろ合わせで、8月31日は、野菜の日です。
日本の食卓には欠かせない、季節感を出すために必要なのが野菜です。季節の変わり目であるこの時期には、もうすでに秋を感じる野菜もスーパーでは見かけるようになります。季節の野菜を見るたびに思い出すのが、軽井沢で働いていた時のことです。
今回は、野菜の日にちなんで、思い出深い修業時代のことをお話しします。
味見して、何もしない方がいい時はそのまま出す
フランスから帰国後にお世話になったレストラン、エルミタージュドゥタムラでは改めて野菜の持つチカラ強さを見出しました。今では、代変わりしましたが、当時はオーナーである田村氏の下で、徹底的に野菜に関する基本のきを叩き込まれました。
春は山菜、夏は高原野菜、秋のきのこ、冬には根菜…と、様々な旬を彩る野菜を扱うことができ、今でも折に触れて見なおす時があります。フランスにいた時よりも野菜の扱い方に関しては、タムラ時代の方が勉強になったほどです。
にんじんの葉の香り、トマト本来の持つ酸味と甘み、キャベツだけで出来る美味しいブイヨンなど、野菜の持つ本質をシンプルに調理するだけで美味しくなる、お手本がそこにありました。フランス料理は、ある意味見た目重視で、必要以上に手間をかけるところがあるのは、否めません。
しかしタムラでは、自然の形のままの姿をそっとお皿の上に添えるイメージで、一皿一皿を仕上げ仕事でした。無駄に小さく切りそろえたり、必要以上に手をかけず、場合によっては野菜を洗って、食べやすいギリギリの大きさに切り、フルールドセルとオリーブオイルを添えただけの一品も存在しました。
「これだけでいいんですか?」と、聞き返したほどです。「味見して、何もしない方がいい時はそのまま出す」と、自分が選んだ野菜に本当に自信があると感じる答えでした。また、メインディッシュの肉よりも付け合わせの野菜の方が、量が多かったのにも初めは驚きました。
屋台骨を支えるバイプレイヤー
ホワイトアスパラガスやマツタケ…のようにその季節を代表する野菜は、メインにも劣らないほどの存在感を見せますが、それ以外の野菜たちは料理の屋台骨を支える名脇役ばかりです。また、一皿を構成する食材のほとんどは野菜が使われています。
カレーを作るには、玉ねぎの甘さが必要です。ぶりには大根が欠かせません。葱があるから鴨も活かされるのです。もちろん漬物も忘れてはいけません。魚や肉だけでは味が単調になるのを防ぎ、足りない味を補う役目が野菜にはあります。
食卓に現れる季節感
今回は【野菜の日~旬を味わうには野菜が一番】についてお伝えしました。
いつも買うレギュラー野菜に加えて、季節を感じる野菜を1種類でも良いので買ってみてください。季節の野菜をいつも作っているおかずに添えるだけでも、食卓には季節感が現れます。
和食でもフレンチでも季節を彩るには、野菜が一番手軽で簡単です。シンプルな調理法でぜひ味わってみてください。