作った料理が『予想以上に美味しくできてうれしかった』ことってありませんか?
どんなに小さなことでも構いません。調理中に起こった楽しかった瞬間や、思った以上に美味しく作れた達成感を一つ一つの積み重ねてください。それが本当の意味で料理が楽しくなり上手くなるコツと言えます。今回は、小さな成功体験を積み重ねていくことで、料理が上手くなるコツを共有します。
今思い出す3つのエピソード
料理を仕事として始めた25年前。職場の先輩たちに毎朝25人分の朝食を作るのが仕事でした。毎日朝からあれこれ怒られながら正直しんどい時もありました。しかし、たまたま上手くできたオムレツが『形がうまくなったな』『これ美味しいね』『この調子なら上手くなるよ』と言ってもらえたことでモチベーションが上がったことを思い出します。
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ウィーン時代、ドイツ語もままならないなか、何とかして覚えていく過程で少しずつ希望の品が買えるようになった時の充実感を忘れません。片言でしたが、相手が理解してくれようとする姿勢にこちらも一生懸命に伝える。そのおかげで単調だった献立作りも飛躍的に幅が広がりさらに仕事が楽しくなりました。
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レッスン中、いつも火加減がうまく調整できずに焦がすことが多かった生徒さんが、その数か月後に、上手くハンバーグを焼いている姿を見て、あの時教えたことを生徒さんがちゃんと守っていることが素直にうれしくなりました。生徒さん本人の、予想以上に上手く焼けていることで浮かべた笑みが忘れられません。
料理を楽しいと思える瞬間に気が付きこれらを積み重ねる
料理が楽しいと思える瞬間には、『たまたま作った料理が美味しくできた』『段取り良く進められた』『喜んでくれた』『珍しい食材を使えた』『普段一人だが誰かと一緒に作れた』『レシピ通りに作れた』などがあり、それらのポジティブな体験を少しでもたくさん経験して欲しいと思っています。
料理は、すぐには上手にならないので、もどかしくなる時もあるでしょう。しかしながら、小さな積み重ねをコツコツと築き上げていくことも大切です。時には、失敗もしたり、時間がなくて簡単に済ませてしまうレシピに偏り、献立がワンパターンになることもあるでしょう。
そのような中でも、『あれっ?今日は美味しくできたな』『だんだん魚を焼くコツがつかめてきた』『いつもと同じなので、調理時間が短くなってる』『昨日と一緒なのに残さず食べてくれることに感謝』…のようなことを感じ取ることが大切です。周囲から見たら大したことない事でも本人にしてみたら確実に前進している出来事。
料理が上手くなるプロセスには、大きく派手に物事が二段跳びで運ぶことはありません。確実に一段一段ゆっくり丁寧にステップアップしかできないと思っていいでしょう。そんな地味に見える過程を楽しめるのに必要な考え方が、料理を楽しいと思える瞬間に気が付きこれらを積み重ねる。これが上手くなる秘訣の一つともいえるでしょう。
上手くできた時の気持ちをストックする
今回は【『料理が楽しいと思える瞬間』を大切に積み重ねることが上手くなるためのコツ】についてお伝えしました。
自分がイメージしていた以上に美味しく出来ていたら、それだけでもうれしいものです。ぜひこの時の気持ちをたくさんストックしておいてください。それがたくさんあればあるほど料理が好きになり、誰よりも美味しく作れるようになりますから。