調理中に食材と会話していますか?
もちろん食材と直接話すという意味ではありません。食材が調理中に「今が最高のタイミング」という瞬間を知らせてくれる場面があります。そこを見逃すかきちんと見分けられるかが、イメージ通りに美味しくできるかの分かれ道です。
それには、食材や素材と常に対話をし、状態を見たり変化に注目しておく必要があります。今回は、食材と対話することでいつもの料理が、さらにワンランク上になる食材対話力についてお話しします。
素材の状態はいつも一緒ではない
私が若かったころよくシェフから言われたことは、「素材と対話しながらタイミングを見ること」肉を焼くときでも、「いつものように焼くと失敗する」「素材の状態はいつも一緒ではない、その時によって、状況や状態が変わるので焼き方や時間を微調整しなさい」「食材の感触を確かめながら、今が一番いい状態の時に引き上げること」と、教わりました。
また、基本の作り方を教わっても、初めのうちは上手くいかない時が多々あります。それは、食材の状態や調理中に起こる素材の変化は、なかなか口で説明するのはむずかしく、実際にやってみて食材と直接対話してみないと、分からないことがあるためです。そこでの経験が、食材対話力を磨き、さらにワンランク上の料理を作れるようになれるきっかけになります。
皆さまにも食材の声が聴こえる
食材と対話?意味が分かりづらいかもしれませんが、皆さまも無意識に行っているはずです。ほうれん草を下茹でするときに、鍋の中で茹でられているほうれん草が、しんなりして茹であがる直前の合図。
フライパンで魚を焼いている時に聞こえる、魚から出る水分がはじける音が落ち着いてきた時の音。てんぷらの揚げ始めの音や泡の出方…など、いわゆるサインが食材からの声と覚えてください。その声をいち早く聴き逃さないようにするのがポイント。慣れてくると、食材の声が聴こえてくる瞬間が分かります。
持ち味をいかした料理に欠かせない食材との対話
今回は【「おいしい」「まずい」の分かれ道は食材の声を聴いて調理すると分かる~食材対話力のススメ】についてお伝えしました。
料理は五感と言いますが、まさに食材との対話は五感をフル活用することによって、素材から上がる声を逃さず聴くことができます。素材と向き合うことでしか分からないこと、自分なりのコツは食材との対話をきっかけにして身に付きます。
自分なりの持ち味をいかした料理に欠かせない食材との対話力。ぜひ覚えておいてくださいね。
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