料理

料理の段取り~参考にしたい3つの習慣

料理の段取り上手な方とは、前もって冷蔵庫チェックをし、複数同時調理ができて、臨機応変に対応したり、手持ちの調理器具を上手に使いまわします。もちろん、料理の基本ができているのは言うまでもありません。

そして何よりレシピには書ききれない、素晴らしい習慣を持ち合わせている方が多い気がします。注目すべきことはその習慣は傍から見たら些細なことでも、本人たちはしっかり習慣として自然に取り入れている点です。

段取りを身に付ける為の習慣とは何でしょか。この記事では、料理の段取りについて考えてみます。

料理上手はみんな行っている8つの習慣とは?料理が上手な人とは?上手になるために必要なことや考え方。基準はあるのでしょうか?芸能人で言うと男性では?女性では?味付けが上手い、手際が良いその他にも考えてみました。...

時間を意識する習慣

逆算思考で作る無駄のない時間

調理の時間がかかるのを解消するための方法として、様々なキッチンアイテムや調理家電をそろえたりするのも一つの解決策です。また、前もって切り物などを済ませておいたり、簡単な調理工程のレシピに頼ることも即効性もあり有効でしょう。しかし、最も大切なのは時間を意識ながら調理することです。

例えば料理教室では、切るのが上手な方、味付けや火の扱い方に慣れている方など様々です。調理工程も無駄がない熟練の方もいらっしゃいます。共通しているのは『時間を意識している』という点です。確かに手際の良さもあるのですが、何よりも要所要所で時間を確認しているのが印象的です。

そのせいか、時間を意識していない生徒さんと比べると2歩3歩先の工程まで進んでおり、料理がどんどん完成されていきます。『仕上げる時間が決まっているので、そこから逆算しています』『常に時間を意識することで自然と体が動き、次に何をすればいいのかを考えながら作っています』これには感心しました。

1、作りはじめに時間を確認
2、作っている最中にもう一度確認
3、完成したら終了時間を確認

以上3点を何度か繰り返しているうちに、初めて作るレシピでも感覚的に時間がわかるようになります。そうすることで、全体の時間配分も自然と身に付いてきます。早速、時間を意識してみましょう。

食の大切さは分かるが時間も惜しい


仕事から帰宅して晩ごはんの準備に時間がかけられるとしても、せいぜい30~40分でしょう。疲れている時などは、あるもので手早く済ませたいものです。献立も考えるのが億劫な時も多いと思います。食の大切さは分かるが、時間も欲しいのは誰でも思うことです。段取り良く進めるためには時間の意識が必要になります。料理は逆算思考と言われています。例えば…

1、冷蔵庫にある物を確認します。毎日作っていると頭に入っているので省略できます。
2、主菜を決めます。これを軸にして副菜と汁物の準備もしくは作らない選択をしましょう。
3、「何時までに作り終える」と、終了時間を決めてください。

例えばキッチンタイマーで45分と設定してみましょう。自身の腕前で、制限時間以内で出来そうな献立で行うことがポイントです。プロじゃないんだからここまでする必要はないと思うかもしれません。しかし何度も言いますが調理時間は意識しないと身に付きません。

道具に関する習慣

適切なサイズ

料理を作るうえで適切な調理道具選びは、スムーズに調理を行うことができます。
例えば肉を煮る時は、鍋の大きさがポイントになります。準備した食材の大きさや量に対して鍋のサイズが合わないと適切に調理できません。調理時間のロスも生むことにつながります。

確かに家庭では各サイズの鍋を揃えることは難しいですし、大きめのフライパンと蓋で全てをカバーしている方もいます。しかし鍋のサイズは光熱費や材料費ロスにもつながるので、適切な大きさを揃えることをおすすめします。

切ったら移す習慣


まな板の上が乱雑になるので、材料を切り終えたら別の器に移しましょう。次の切る工程がスムーズになります。確かに切った材料は、まな板の端によせておき、余ったスペースで切り進めることができるようになります。

でもこれは慣れている人の話。初めのうちは、『切ったら移す』を心掛けてください。整理整頓を行いながら調理を進めていくのは、事故を未然に防ぐことにも繋がります。面倒にも思えますが、この小さな習慣こそが段取りの基本です。

毎日作るとわかる献立のパターン


これを持っていると献立が組みやすい食材を常備しておきましょう。毎日料理をしていると、作る献立の傾向や買う食材のパターンが決まってきます。また使う調味料もだいたい同じになります。作るレシピのパターン「献立の型」も固まります。

ここまでくると、すでにあるもので作れるようになります。初めは、冷蔵庫の中にたくさん食材が入っていないと、不安になるかもしれません。また、使い勝手のいい調味料や食材はすぐには分かりません。一定期間使い続けてみることで、自分に合った食材が分かるようになります。

次第に使い慣れてくると、その食材を基準にしてアレンジすることもできます。 段取り良く作れる人は、必ずベースになるレシピを持っています。その数が多いほど即興で作れる料理も多くなります。そうなるためには、調理の基本をしっかり身に着けるのも忘れないようにしてください。

夏向けレシピを参考


夏向けレシピを使って、段取り良く済ませる方法で参考になるのは、加熱自体をどのように行うかです。段取り良く済ませるには火を使う工程を無くすのが一番有効ですが、火を使わないレシピばかりだと単調になり飽きてきます。また冷たい料理ばかりでは身体に負担がかかります。

調理器具にアウトソース

ポイントは、比較的長い時間火にかける煮物系などを、他の調理器具に任せることです。例えば、直接炎が出ない卓上IHは火加減調整もしやすく、限られた火口を増やすことにもなり、同時に他のこともできるので作業がはかどります。しかし料理によっては鍋底が焦げる時もあるのである程度は気にかけておく必要があります。

火を使わない熱源として、例えば、電子レンジで肉じゃがを作ったり下処理用として活用するのはすでに一般的です。またオーブントースター、炊飯器を使ったレシピは参考になります。しかし野菜炒めのような短時間で作れる料理に関しては、一気に仕上げた方が段取り的にも味的にも、いつものように作った方が良いでしょう。

調理器具は、使用頻度や収納場所などの課題もありますが時間短縮や段取りを向上させることで言えば、有効ですのでぜひ一考されてみてください。

シンクも調理スペース


シンクも有効活用する方が、段取り構成が楽になります。調理中は、茹でた熱湯を捨てたり、ボウルに入れた食材を流水にさらす工程があります。その場合、シンクに洗い物があるとかなり邪魔になり、それだけで調理を中断させる原因となります。

狭いシンクの場合はかなり厄介ですが、その場合はなるべく洗い物はこまめに洗いましょう。またシンクの上にまな板を渡して使われているパターンもあります。壁側に水切りかごを設置しスペースを有効活用する必要もあります。フィンランドにいたころは、食器棚に水切りラックがビルトインされている優れモノを見たことももありました。

キッチンを有効活用し皿を拭く時間が省けるので狭いキッチン環境ではとても考えられています。 片付けはレシピには書かれていません。どこで洗い物を行うかは皆さまそれぞれのタイミングです。まさに段取りです。

ダスターをたたむと美味しくなる?


包丁は定位置に置いていますか?調理中キッチンダスターは常にたたまれていますか?直接レシピにとは関係ないことに見えても、調理中の段取りをよくするために行いたいちょっとしたシンプルな習慣もあります。

料理ですので味付けの仕方、飽きない献立の組み方、プロが行っている美味しくなる秘訣などに目が行きがちになります。もちろんそれらのことは大切ですし、たくさん覚えてほしいと思います。しかし、美味しく作ったのに、調理中のまな板の上は乱雑、キッチンダスターがたたまれていない、ガチャガチャ音を立て過ぎていてうるさい…などでは、せっかくの料理もおいしさ半減です。

美味しいからいいのではなく、例えばケガをしない為に包丁を定位置に戻し、衛生を保つためにダスターをたたむ…など、小さなことをきちんとできることも、料理を作るうえで必要な要素です。

習慣にすると負担にならない

教室のレッスンではレシピ内容によって忙しくなる時があります。しかしそのような状況でも、一時的に使い終わった包丁を、まな板の上に包丁の刃を向こう側にして横に置く生徒さんがいらっしゃいます。しかも、毎回必ず行っています。

『Wさんは教えた通りに、毎回包丁を軽く拭いてから定位置に戻していますね。』と話しかけてみました。『もうこれが習慣になっています。毎回違った置き方ですと調理リズムが崩れたり、包丁ですので危なかったりするので、いつも同じように置いています。』とのこと。習慣になっているので、一見面倒に思える動作も自然な流れになっているので、本人にとっては負担になっていないようです。

調理師専門学校のデモンストレーションで欠かさず教えていることの一つが、『キッチンダスターをたたむ』ということです。わざわざデモでダスターをたたむことを教える必要ないのでは?と思うかもしれません。しかし、ダスターがたたまれていないのは、作業台がきれいな状態とは言えません。

『たたみ直す』この単純で数秒で終わることが習慣化できないようでは、おそらく何を作ってもそこそこでしょう。精神論ではありませんが、そのようなことができている人はやはりいい料理を作ります。

習慣は本人の裁量次第


ダスターをたたむことや、包丁を定位置に置くことを一例として挙げてみました。料理のでき栄えとは直接は関係ないでしょう。しかも家庭では本人の裁量次第です。しかし、調理中にストレスなくスムーズに段取り良く行う為には、ぐちゃぐちゃのダスターよりたたまれている方がいいです。

包丁はそのつど自身で決めた定位置に戻すと次にも使いやすくなります。レシピには書かれていないこのような事を、習慣としてできる方とそうでない方の料理のでき栄えが違うのは、長い間見てきた経験則で感じます。不思議ですね。

ゆとりをもつ習慣

安定した献立作りに役立つアイテムを常備

段取り良く料理ができる人に多く見られるのが、お気に入りの調味料やレギュラー野菜が何種類か常備してあることです。そうすることで、安定した献立作りに役立てています。使い慣れた食材なので、経済的に使い切れる調理技術が自然と身に付いています。食材は計算して購入しても、レシピ通りに作ったとしても必ず余りますが、それらも上手く使いまわしています。

60/100


料理のできは100点満点中60点で合格としましょう。「もっと献立にバリエーションを持たせたい」「品数を増やしたい」そう感じるのは当然です。それらは休日や、時間があるときに試してみてみましょう。できることを少しずつ増やしていくことで、確実に手際も良くなります。

料理番組の見るべきところ


皆さんは料理番組を見ていますか?それは作り方を見たりレパートリーを増やすためですか?料理番組は、プロでもとても参考になります。一人で基本立つ台所仕事では、頭が凝り固まってしまう時があります。料理番組はレシピや作り方はもちろん、講師の手さばきを見るのはとても楽しいです。さらにそれら周辺の事柄にも意識を向けてみるとさらに面白くなります。

1;講師がつけているエプロンに興味を持つ

講師の方が身に着けているエプロンはかわいらしい柄や、生成色などのシンプルで実用性のあるものを使用しています。作る料理や講師の方の雰囲気そのままがエプロンにも反映されていると思うのは気のせいでしょうか。エプロンひとつで料理の傾向がなんとなく分かるのも、面白い見所です。

さらに、気にいったエプロンは買って身に着けてみたくなります。初心者の方は汚れてしまう心配があるかもしれません。気にいったエプロンを汚したくない意識が手際の良さにも直結します。段取り良く進める料理上手の方はエプロンもきれいです。

2;気になる調理器具は要チェック

料理番組で使われている調理器具は、「使い慣れている」「最新器具の紹介」「新しい使い方の提案」「タイアップ」「番組のコンセプト」などが挙げられます。ここで見るべき点は、自分にも使いこなせそうな器具を見つけることです。あったら便利そう…きっかけはそれくらいがちょうどいいです。

使いこなせるか心配…それは使い続けないとわかりません。見つかったら早速購入してみましょう。新しいキッチン道具は使うのが楽しみです。それを使うレシピも調べてみたくなります。そんなきっかけでも料理の段取りはよくなるものです。

3;使ったことがない食材や調味料の使い方に注目

調味料が少し違うだけで、料理がガラリと変わります。使ったことが無い調味料は要チェックです。食材は特に季節感がポイントです。少し季節を先取りする料理番組のレシピを見て季節を確認します。そして、使ってみましょう。イマイチな仕上がりでもそこはご愛敬です。来年またやって来ます。毎年使い続ける事でコツがつかめてきます。

マイルール


段取り良く調理を進めるためには、できる範囲内でマイルールを決めておくのも方法の一つです。日々の献立作りにこのマイルールを当てはめていくことで、悩んだ時や考えてもなかなか献立が浮かばない時に役立ちます。ご家庭では、基本一人で料理を作られている方が、ほとんどではないでしょうか。

一人で献立を考え買い物をして実際に作っていると、どうしても自分の好みやその時の状況に流され、つい楽な方へ引っ張られさぼり気味になりです。このような状況だと献立もマンネリ化する傾向になり、偏った食事になりがちです。よくあることで仕方がありません。

同じようなものばかりになってしまうのもよくわかります。しかし、食べる側から見れば、いつも同じではさすがに飽きてきます。せっかく作ってくれているのに、その想いが伝わらないのも、なんだか残念な気がします。

参考にまでですが、公邸料理人時代に実践していたことをご紹介します。
12個をマイルールとしてそれを基準に献立を作り、大使夫妻の食事を提供していました。年齢的に離れていただけに初めは苦労しました。

大使夫人からのリクエストやアドバイスを取り入れ、マイルールを作り出したことで、その後かなり楽になったことを覚えています。
ただし毎日厳密にマイルールに則して作るのではなく、柔軟性をもって対応することが続けられるポイントです。

1、主菜になる肉料理は週2日。
2、主菜になる魚料理は週3日。
3、主菜になる豆料理を1~2日。
4、卵は1人1日1個以上使わない。
5、汁物は1人1日1杯が目安。
6、炒め物などの油を使った料理は献立の中で1品が理想。
7、基本の献立形式は特にこだわっていないが基本は一汁三菜。
8、1つのジャンルに絞らず、献立は和洋中混ざっていていい。
9、揚げ物は、週1回入れる。
10、季節の野菜を積極的に取り入れる。
11、絶対に「しょっぱい」のはダメ。
12、甘さは、黒糖やはちみつを使うこと。

このように12個も決めるのは大変かもしれませんが、それも最初だけです。意外と頭に入ります。このように決めておくだけで効率化されて、献立作りに無駄な時間を費やすことなく、自分自身の時間が増え、心に余裕が生まれました。

これらは一例ですがぜひ、ご自身やご家族のことを考慮しながら、2~3個でもいいので書き出してみることをおすすめします

まとめ

この記事では【料理の段取り~参考にしたい3つの習慣】を、お伝えしました。

レシピには書かれていませんが、その行間に込められた見えない部分こそが料理に必要な段取りでもあります。段取りを習慣化することで、料理の仕上がりも変わってきます。すこしづつ習慣化を心掛けてみましょう。