レシピを書くことありますか?
本のレシピは、『読者に対して親切で読みやすい型』で書かれていますが、自分だけの記録として書き留めておくレシピの場合には、そのような決まった型で書くことはあまりなく、完全自己流の書き方でメモ帳のような意味合いが強いです。
調理実習中の学生の手書きレシピがとても印象的でしたので、自分らしくまとめるレシピについて書いてみました。
先日の調理実習では、いつもよりも内容を難しくし、さらに調理工程を増やしたので学生たちにとってはハードな一日だったかもしれません。その日のレシピは3つです。デモンストレーションでは、それぞれを逆算して時間がかかるレシピから始めます。
例えば、フランス料理でよくあるメインディッシュのレシピの特徴として、『メイン食材の調理パート』『付け合わせの調理パート』『ソースの調理パート』の計3つのパートで一皿のレシピが構成されているのが基本形です。
さらに、ひとつのパートでも、調理工程が5つ以上あるものもあり、一皿のレシピをトータルすると15以上の調理工程に細分化されます。もちろん、初心者向けにレシピをアレンジすることはしますが、その日は少し頑張ってもらうことを前提に工程を増やしてみました。
伝わる熱意
調理師専門学校の方針では、事前に実習レシピを学生に配ることはしないようです。ホワイトボードに書き出されたレシピを学生は、初めからからノートに書き写しますが、少々大変な気がします。
デモではA、B、Cの3つのレシピを逆算します。Aのレシピを行ったら、Cのレシピに移り、またAに戻る。さらに、Bを取り掛かり、Cの様子を見ます…と、3つのレシピを交互に行うので生徒さんたちは忙しくメモを取りながらデモも見学します。メモを取りこちらの調理工程を見学する真剣さが伝わるので、さらに熱が入るデモになります。
デモが終わり、学生たちの実習が始まると、再確認の為手書きしたレシピを見ながら、初めて料理に取り掛かります。レシピには学生たちそれぞれの持ち味が生かされており、見るこちら側としては非常に興味があります。
例えばデモ中に私が話した、『少しレシピから外れた余談』、『レシピのアレンジ法』、『現場の話』などが詳細に書かれてあるのにはこちらも驚きます。
『よくあのタイトな時間でここまで書けるな』と感心させられる時が多々あります。もちろん、メモを取る時に勘違いをし、間違ったまま調理している時は、こちらもすぐに気が付くので実際に手順を見せながら再度説明をします。
ある学生は『メモしたレシピは家で分かりやすく書き直します』と、話してくれました。そのノートでも充分見やすいのですが、さらに家でまとめるとは、その熱心さにこちらも頭が下がります。
当時を振り返るレシピ
学生の手書きレシピを見る度に私も若い時、辞書で調べながら手書きでレシピを書いていたことを思い出します。今では、パソコンで書くのが当たり前になりましたが、はやり手書きのレシピはその人らしさがにじみ出てきていいものです。
今回は『印象的だった学生の手書きレシピで伝わる自分らしさ』について書いてみました。
学生は、これからたくさんのレシピを書き溜めていくことでしょう。今は新人でもその熱意があればすぐにチャンスをつかめると思います。数年後にレシピを見返してみてください。当時のレシピから、様々な事を思い出す記憶をたどるレシピノートとなるはずです。