フライパンで焼くときにジューと聞こえてくる音と、立ち上る煙に意識したことありますか?
レシピには、弱火や強火などと書かれており、初めて作る時の目安にもなります。ちなみに火加減が指定されていない時は中火であることが多いです。
実際に作るときはフライパンの大きさや食材の状態などにも大きく左右されます。レシピに書かれている通り作ったつもりなのに、思たよりもきれいに焼けないのはこのためであることも考えられます。
特に初心者の方でも火加減の調整をする時の判断基準は、2点です。
✓音を聞く
✓煙の大きさ
これら細かい描写はレシピには書き表すことが難しいために、作る側の判断にゆだねられることが多いですし、レシピに表現されていない行間を読み取るには、特に初心者の方には難しいです。
プロは食材の変化や状態を判断するために、必要に応じて直接触れたりすることもあり、焼いている時の香りも判断材料になることは言うまでもありません。しかし初心者の方には先ほどの『音と煙の大きさ』で判断する方法ですと、比較的早い段階で火加減をマスターできるのではないでしょうか。
今回は、料理教室での一場面とプロを目指す学生のとのやり取りから、火加減の調整について書いてみました。
何火ですか?
先日の初心者向けレッスンでは、ハンバーグをフライパンで焼く手ほどきをしました。生徒さんは自宅で何度かハンバーグを焼いたことがあるようで、少し自信があるように見られます。まず先に、お手本の焼き方を見せました。成形したハンバーグのタネをフライパンの中に並べ入れます。
『この時は何火ですか?』『そうですね、中火にしましょう、しかし、このフライパンから聞こえてくる音にも意識してくださいね。それから、立ち上る煙にも注意してください。』また、ハンバーグの焼き色を確かめるために、必要以上にタネを持ち上げて確認するのはおすすめしないことも、指摘させていただきました。
確かに焦げていないか心配になるのは分かりますが、おいしそうな焼き色がなかなかつきません。もし動かすときは、タネとフライパンの接地面に油を滑り込ませるイメージで少しだけ持ち上げるのを、心掛けてくださいとお伝えしました。『いつものハンバーグの焼き方にもこんなにポイントがあることに驚きました』と、帰り際にコメントしてくださいました。分かっていただけたようで何よりです。
今は強火
調理師専門学校ではある学生が、『仔羊の背肉を焼いてみたい』とのリクエストがあったので実習に取り入れることにしました。仔羊の背肉の下処理をレクチャーし、いよいよ焼き始めです。フライパンで、仔羊の皮側から焼き始めます。ここでも同じように『先生、何火ですか?』と質問が出ました。『今は強火』とだけ、答えました。しかし、どんどん煙が上ります。
火加減を調整するだろうと、そのまま生徒に任せ様子を見ていましたが、一向に調整レバーに手をかけません。『フライパンを火から離して』と見かね、火加減を調整するべき時の見分け方、さらに、フライパンの大きさと火の大きさの関係は、レシピに書かれている通りにはいかないことも伝えました。プロを目指す学生にはさらに理論的に教えますが、真剣なまなざしにはこちらも熱が入ります。
食材から発するサインを逃さない
火加減で大切なのは、先ずは聞こえてくる音と煙の具合で判断することも、大切であると伝えしました。確かに火加減を弱中強で表現しますが、それにとらわれると、肝心の食材から発しているサインを見逃します。
『聞き逃さない』『見過ごさない』ようにするのがポイントです。食材から徐々に水分が蒸発し、音がだんだん小さく細かくなっていく過程をキャッチします。そこで初めて火加減を調整します。同時に煙がもくもくと立ち上るのなら火は強すぎです。
例外としてミニッツステーキのように薄い肉の場合は、終始強火で多少の煙は気にせずに焼き進めますが、酸化した油の嫌な臭いもつくので、注意が必要です。
リアルも大切にする
今回は『火加減のコツ~まずは焼く音と立ち上る煙で判断 』についてお伝えしました。
焼き方のポイントにはいくつかありますが、まずは焼いている時に聞こえてくる『音』とフライパンから立ち上る『煙』に意識してみてください。
火加減の弱中強はあくまで作り方を伝える時の目安です。それらも大切にしながらも、リアルに聞こえる音と見える煙で判断する方法も覚えておいてください。