料理教室

調理師専門学校の学生に教えることで幅を広げられるその先の料理観

料理の仕事は様々なことを気が付かせてくれます。例えば調理に必要な技術や味付けのコツは、料理の実践を通じて学び、作る料理をさらに磨き、身に付けていきます。そしてその奥に隠れている料理観や本質的なことは、さらにその学びの途中や時間をかけていかないと、身に付けることができません。さらに、教えることで自分自身にも確認できるメリットがあります。

 

その先の料理観や本質的なことが、言語化でき確立されているのがプロと言えます。これらを踏まえて、特にたくさんの学びが得られるのが、これからプロとして第一歩を踏み出す真っ白な学生たちからです。

 

状況に合わせて適切な正解を引き出す

調理師専門学校で学生にフランス料理の基本的なレシピを通じて、調理全般に使える必要な基礎を教えていると、思わぬことに気が付く場面があります。料理のことを知らない人にどうしたら知ってもらえるのか、さらに使えるようになってもらえるかを、常に模索しています。

 

これからプロの現場の入り口に立とうとしている、学生への指導を通じて学ぶことが多くあります。プロではあたりまえのことが、通用しないのがこれから学び始める学生です。答えは無数にあり、状況に応じてそれをどのようにして適切な正解を引き出し、目線を合わせて教えられるかを意識しなければいけません。

 

視点を合わせて教える

学生は思ったことを素直にシンプルな形で、私に質問を投げかけてきます。沸騰と言う言葉を聞いたことがない学生。ビネガーは酢のことだと初めて知る学生。みじん切りを初めて見る学生…初めてなので当然です。

 

学生が決して無知なわけではありません。なんでもそうですが、知らないことは悪いことではありません。知らなかったらその時点で知ればいいのです。人生で初めて見たり聞いたりする調理用語は、学生にとってはすべてが新鮮な出来事です。

 

そのことを踏まえて気が付き、教えることができなかった私に反省点があると、すぐに教え方を改善しました。初めての人に対して視点を合わせられていませんでした。もちろん、その学生たちはその後会うたびに成長しており、初めのころと比べて顔つきも変わりました。実習を通じて行動範囲も広がり、さらにプロが使うような実践的な調理に関する疑問や質問をぶつけてくるようになりました。

 

学生から多くを学ぶ

今回は「調理師専門学校の学生に教えることで幅を広げられるその先の料理観」についてお伝えしました。

 

初めて見て聞く料理の言葉や技術が、分からないのはほんの一瞬です。知りたいと思う気持ちが強いほど、その後の料理に対する理解度は大きく変わります。良い料理人にはこのようなタイプが多い気がします。料理にはゴールはなく、生涯を通じて学び尽せる仕事です。

 

私も学生から多くを学んでいます。学生は、はじめは何も知らなくてもいい、その後「興味を持って知り」「しっかりでき」「続けられる」ようになって欲しいと、多くを望む今日この頃です。
 
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